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邪魅の雫

久々に出た京極夏彦の新刊、しかも京極堂シリーズ。
例のごとく分厚い本で持ち歩くことが出来ず、読了に時間がかかってしまった。

邪魅の雫 (講談社ノベルス)
京極 夏彦
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今回は、中禅寺、榎木津など主要なキャラクターはなかなか登場しない。木場でさえ脇役だ。どちらかというと今まで脇役であった脇田や青木がストーリーを引っ張っていく。そこに関口が付いているのはご愛嬌か。こう見るとやはりシリーズとしては『塗仏の宴』で一区切りついて、前作から第2クルーに入っているかという感じがしてくる。『踊る大捜査線』がThe Movieで一区切りついて、サブキャラをメインに据えた作品を生み出しているようなものだろうか。
巷の噂を信じるならば前作の『陰摩羅鬼の瑕』が夏、女、鳥などをキーワードに『姑獲鳥の夏』と対応するように、今回は二作目の『魍魎の匣』と対応するらしい。そう言われてみれば、戦前戦中の軍部の暗部、陸軍研究所、主要キャラクターの恋など共通する要素は確かにある。「邪魅は魑魅の類なり」ってのも意識しているのかな。
ただ、二作目はたぶん本当にノリにのっていた時期だけに比較するとボリュームの割に物足りなく感じてしまう。

今回はプロット自体は複雑なのかもしれないが、かなり早い段階でわたしは先が読めてしまったので、京極堂の「憑物落とし」はいつもの目から鱗状態にはならず、「あぁ、そうそう」という感じ。それもまたよしなのだが。最後に榎木津が犯人(?)への一言が犯人にとっての憑物落としか。

なお、この本には地域限定の特別装丁本があるらしい。

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