iPhone向けのメモアプリ ZeptoPadを購入してみた。
ベクターベースの描画機能と文字入力ができるソフトで、記録よりも思考を助けるためのツールとして位置づけているようだ。デモではマインドマップなどが動画で紹介されている。
ある意味、非常に新しいことを目指したソフトであろう。
だが、非常に残念なことにソフトの完成度、特にユーザーインターフェイスの脆さがすべてを台無しにしている。「あなたのiPhoneに紙ノートに匹敵する自由度を 与えます」とある。このユーザーインターフェイスは不自由しかもたらさなかった。30年前の文具だってもうちょっとスマートだったはずだ。
いくつも不具合があるが、
- 文字以外一度書いた線は消すこともカット&ペーストもできない。これでは何のためのベクター方式か。
これが意図した仕様だというから驚く! - 拡大縮小できることはベクター方式の強みではあるが、逆にいうと頻繁に拡大縮小しなければうまく書くことができない。
- キャンパス自体は最大4096x4096の解像度のようだが、拡大縮小時一体今どの程度のスケールで表示しているのか、キャンパス上のどこにいるのかさっぱりわからない。
- メモリーの制約から描画できるパスには限りがある。たった96個。
- 文字自体の拡大縮小が可能だが、文字を選択で拡大縮小をするとすぐに選択が外れ画面全体の拡大縮小となる。
- なんで初期選択されているカラーが赤なのか?
インターフェイスに致命的な欠陥とベクター方式の悪いところばかりが目立っていて、このため本当に思考ツールと呼べる代物ではなくなっている。
デモにあるマインドマップなどとてもじゃないが思考しながら描けるものではない。描こうとすると思いつくワードを全部タイプする。ワードを色をつけたり大きさを変えてどんなマインドマップを描くか白紙上で想像しながら配置していく。配置したワードを元に枠をつけたり関連を結んでいく…… 枠や線を描いた後で配置を変えたいと思って一度描いた線はアンドゥーでしか消せない。「下書きだからよいか」と割り切るつもりでも、パスの数の制約がそれを許さない。
何かに書き付けたマインドマップの清書としてならともかく、こんな書き方で白紙から試行錯誤で書くことは不可能に思える。また、清書用として考えるとこのソフト上で清書したからといって、何と連携するわけでもないのでまったくメリットがない。
よくぞこんなものをマインドマップツールみたいな売り方をしたものだ。結論としては、入念に描いたマインドマップを何枚かこのソフトに入れておいて、他人にそれを拡大縮小する様子を見せて、「iPhoneって思考ツールにもなるんだ」って自分を自慢することに使うくらいしか使い道がなさそうだ。
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