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『キーボード配列QWERTYの謎』

キーボード配列QWERTYの謎
安岡 孝一 安岡 素子
エヌティティ出版
売り上げランキング: 147030

キーボード配列QWERTYの謎』という題名に惹かれて手に取った本。

わたしの世代だと、Apple IIcが発売されたときに「Dvorakという効率のよいキーボード配列がサポートされる」という記事をよく目にした。そこに必ず書かれていたのは「現在のQWERTYキーボードは、タイプライター時代に高速タイプでアームが引っかかるという問題のためわざとタイプ効率を下げるよう配列されている」という内容。もうこれは刷り込みに近く長年信じていた。この説は日本でも坂村健や石田晴久あたりが引用したので、今でも信じている人が多いのではないだろうか。

この本を読むと、歴史的にQWERTY配列は決してそんな出生ではあり得なかったこと、上記のようは誤解はDvorakの信者たちの布教活動と一部の経済学者たちの「市場の失敗」例としての恣意的な取り上げ方によるものであることよくわかる。こういった誤解が解けたのはこの本を読んだ大きな収穫だった。ただ、結局なぜQWERTYキーボードがこの配列となったかは結局わからない。
母音や頻度の低い子音の配置を考慮したらしいこと、当初1(いち)をI(アイ)やl(エル)で、0(ゼロ)をO(オー)で代用したことからI,O,Lの配置が決まったらしいことは分かる。だが、結局なぜこの配列というはわからないのが残念。

結局、テレタイプでのエンコードの問題や、タイプライタートラストや市場を独占する企業の意図によりだんだんとQWERTYも規格として統一されていく様子も説明されている。日本のJISと一般的なUSタイプのキーボードが微妙に違っている(例えば@のキー位置の違いなど)は理由がわかったのはなかなか面白かった。
おめえのせいだったのか! IBMめ。

ちなみにMac OSXだと、設定でDvorakが未だにサポートされている。

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BK1で今週の書評に選んでいただいた。

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