スキップしてメイン コンテンツに移動

電脳日本語論

コンピュータ、言語学、辞書学など各方面の専門家が集いATOKの成功と発展を裏で支えるATOK監修委員会。この委員会の取材を中心に構成されたATOKの歴史を集大成したドキュメンタリーだ。

no image
電脳日本語論
posted with amazlet at 08.11.29
篠原 一
作品社
売り上げランキング: 521180
おすすめ度の平均: 3.0
3 今までの篠原一だと思ったら寝首をかかれた。

小説家 篠原一の手によるドキュメンタリーだが、小説家としての彼女からは想像できない作品で少し驚いた。文体も非常に男性的だし、テクニカルな内容も適切にまとまっている。DOS時代のFEPのような話題も押さえており、文章からもご自身のテクニカルな指向が付け焼き刃でないことが感じられる。

本書は、当初「ASCII」での連載として執筆され単行本にまとめられたものである。この連載自体を目にしたことはないが、内容からすると1999年前後ではないかと思う。語られているのはATOK13くらいまでだが、MS-IMEに多くのIMEが駆逐され消えていく中ATOKだけが生き残っている現在の状況が単なる幸運ではなく、ジャストシステムによるこれらの日本語への挑戦ともいえる取り組みの成果であることがよくわかる。

こういった取り組みはなかなか表に出て我々ユーザが知るチャンスを得ることが少ない。
本書を直接の当事者へのインタビューで押さえた上で小説家らしい日本語へのこだわりについての共感と深い洞察からATOKが生まれ育ってきた歴史をドキュメンタリーとして成立させた貴重な良書である。

ちょっと思い出話を。

ATOKというものを最初に意識したのはもう20年以上前だろうか。
「BUG NEWS」というちょっとラディカルなパソコン雑誌があったが、その中の特集で「一太郎4」が取り上げられたときだった。当時一太郎4が発表された直後でNECのPC-9801と一太郎という組み合わせが典型的なユーザのパターンになりつつあった頃だと思う。
当時まだ8ビットのパソコンで熟語変換で喜んでいた私は、ディスク4枚で供給される一太郎というシステムにあこがれたものだった。

その後、DOS/V機が一部のマニアで話題となっていた頃マニアの仲間入りをした。
同時にIBMの仮名漢字変換プログラムに耐えられずにWXIIを購入した。当時のWXIIはFEP単品で勝負している数少ない製品だったし、640KBという限られたメモリ空間しか扱えないDOS環境で非常に効率的なFEPだった。当時のATOKはメモリ効率が悪く、640KBより上のEMSやUMBにうまくドライバーを追いやることができなかったのでこだわりのあるDOS/Vユーザには敬遠されていた。

Windowsに移行してしばらくはWXIIの後継を使っていた。が、段々こちらの製品もおかしくなっていった。見回したときには、まともなIMEはATOKしかなかった。ATOK10だったと思う。以来、ATOKユーザーだ。

現在はMacでEGBRIDGEに時々浮気しながらも基本的にはATOKユーザである。
EGBRIDGEが不必要に漢字に変換される印象があるのに比べると、ATOKやはり変換される文章が自然な日本語の感覚に近いことを感じる。これはもう単に変換アルゴリズムとかだけの問題ではなく、こういった辞書学や言語学への取り組みとそこから導き出された語彙空間を反映した辞書によるところが大きいのだろう……と本書を読んで改めて思った。

コメント

このブログの人気の投稿

W-ZERO3 カスタマイズ関連

Advanced/W-ZERO3[es]のカスタマイズのメモ。 いろいろインストールしているうちに何をどこから持ってきたのかわからなくなりそうなので、メモを残しておく。 ctrlwapmini テンキー関連の文字入力方式を改善するソフト。 キーマップの作成で携帯電話風の入力方式を利用できたりする。わたしはAuのカシオ系に慣れてしまったので、 w42ca風のキーマップ を拾ってきて利用している。 入手先: http://hp.vector.co.jp/authors/VA004474/wince/wince.html gsgetfile.dll 標準のファイル選択ダイアログを置換するDLL。 My Documents以外のフォルダにアクセスするために作成されたものらしい。いろんなソフトで前提になっているので、とりあえず導入しておく。 入手先: http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Cupertino/2039/ Multi Key Hook 標準では一つしか使えないキーフックを複数のアプリに割当で着るようにするソフト。 入手先をダウンロードし、Windowsフォルダにぶち込んでおく。 入手先: http://geocities.yahoo.co.jp/gl/hou ming 2/view/20070906/1189012118 DefaultMailer advanced/W-ZERO3[es]には、W-ZERO3メールとOutlookメールが入っているが標準MUAをどちらにするか切り替えるソフト。 標準ではOutlookとなっているが実際にはW-ZERO3メールを使うことの方が多いので、todayCompactなどから起動する際、このソフトを利用してW-ZERO3メールが起動するように調整。 入手先: Andante:DefaultMailer version 0.1.0.0リリース KeyLockSuspender 側面のキーロックスイッチの動作をカスタマイズできるソフト。 これでキーロックに連動して、画面のオンオフ、サスペンドなどを強制的に行いバッテリーの不要な消耗を防ぐ。 入手先からダウンロードして適当なフォルダに展開したら、ショートカットを作成してスタートアップに入れておく。 入手先: KeyLockSuspend...

スターシップ・トゥルーパーズ

『スターシップ・トゥルーパーズ』を見る。 1997年の作品で15年近く昔の映画だからか? いや、制作にかかわってるフィル・ティペットが関わった『ジェラシック・パーク』は1993年のはずだ。原作がヘボなのか? いや、原作はハイラインの『宇宙の戦士』のはずだ、あれは昔、俺も読んだぞ…… なんだろう? このやるせなさは。 CGもそんなに古さを感じさせないし、ストーリーもまぁ設定がベタなところはあるが構想はでかい。うーん 問題なのは脚本と演出と演技か。見てる印象は、アホで安直なアメリカンな80年代以前の古くさいSF映画だ。それがもしかしたら狙った演出なのかと思う節もあるが、狙いも分からん。質のいい大阪漫才を観たあとで、くそ下手なボケにラフトラック無理矢理入れたシットコムを見せられた気分だ。 たとえば、こんな具合…… 宇宙戦艦に巨大アステロイドが急接近。未来の宇宙戦艦がそんな急接近されるまで気付かず、パイロットが目視で発見というところは許そう。今にも衝突しそうで警報がバンバン鳴っている中、回避操作に取り掛かったヒロインのセリフが「緊急回避、3、2、1、ゴー!」…… 数えてないで、早くハンドル切ってよ。 揚げ句の艦橋上部がへし折れて宇宙の大海原で通信機能が失われおそらく何名か亡くなっているのに、館長のセリフが「助かったわ、パイロットのおかげよ、ナイスジョブ」…… いや、あの3秒がなければ無傷だったと思うよ、戦艦も。 このヒロインは常にこんな調子。 戦艦が爆発しかけて脱出ボートも次々の火に巻き込まれていくなか、脱出ボートに乗り込んで礼儀正しくヘルメットして「用意はいい、いくわよ」、「ガァーーーーーーーーーーーーーーー(キャノピーを閉める音)」「発射!」…… 早く逃げろよ、イライラする。 まぁ、こういう楽しみ方をするならお勧めです。 敵が「虫」なのだが、地上から攻撃出来る対宇宙戦艦の屁をこく虫がいるとか、相手が虫なのに死んでもいない主人公を死んだことにして諜報戦でもやってるつもりの歩兵隊とか…… スターシップ・トゥルーパーズ [DVD] posted with ama...

iOS5に上げたらやっておくべきこと

忘備録。 今さらながら、iOS5にバージョンアップしたときにやっておくべきことを書き出しておこう。わたし自身はiPhone4持ちですが、3Sでも結構動いている模様なので、参考にどうぞ。 通知関連 iOS5になって通知機能が充実してMobile機器としてさらに使いやすくなったが、反面バッテリーを食う原因ともなっているようだ。不用なアプリの通知については個別にオフに設定したほうがよいだろう。 また、「緊急地震速報」はバージョンアップした場合はデフォルトではオフになっています。但し書きに「設定をオンにした場合バッテリーも持ち時間が短くなる場合があります」と書かれている。今沖縄住まいなのでとりあえずオフのままにしておこう。 位置情報サービス 先日報告されたiPhone 4Sのバッテリー異常消費の原因とも見なされている機能だが、ネットではこのシステムサービスの設定が原因とささやかれていたものだ。まずはアプリの一覧が表示されているが、位置情報が不用と思われるアプリについてはセキュリティの観点からもオフにしておきましょう。 さて、一番下にある「システムサービス」だが、コンパスの調整以外はすべてオフでよいと思われる。ちなみに「位置情報に基づくiAd」は無料アプリに表示される広告に位置情報が加味されるサービス。「携帯電話通信網検索」はキャリアは固定だろうからあまり意味がない。「時間帯の設定」は海外旅行に頻繁に行く人しか意味がない。「渋滞状況」は日本ではサービスが始まっていない。 「システムサービス」の「診断/使用状況」はAppleに自動送信されている情報に位置情報を含めるための設定。Appleには悪けれど、そうでなくてもAppleにたくさんお布施をしている我が身なればさらに通信費まで負担して貢献する気持ちにはなれない。よって、「診断/使用情報」を送る設定自体をオフにしちゃいましょう。変更は「設定」> 「情報」> 「診断/使用状況」 で「送信しない」を選択すればよい。 Spotlight検索 インデックス構築にバッテリーが消費されるらしいので不用なものはチェックを外そう。「設定」>「一般」>「Spotlight検索」で。わたし自身ほとんど利用しないので全部外してしまった。 キーボード設定 不用なキーボードをオフっておくのはこれまで通りだが、今回日本語に入力でこれまでの「かな入力」の他に...