初期のスティーヴン・キングの作品、邦題は『呪われた町 』を引っ張り出してきて読んだ。
かつてブラム・ストーカーが描いた『ドラキュラ』のような吸血鬼が現代に現れたら?というのは今では割と使い古された設定だけれど、これを70年代中期にリアリティを持って描いているのだからやはり先駆的な作品だと思う。
描かれているのは吸血鬼により町が崩壊して行く姿だが、アメリカの地方都市で軍隊に入るしか生活の場がないフリントのような町を重ねてみることもできる。とするとここで吸血鬼として描かれているものの意図は……というのはちょっと読みすぎだろう。
何故こんな本を今ごろ読み出したかというと、以前読んだ小野不由美さんの『屍鬼』を最近読み返し、これがこのスティーヴン・キングの作品のオマージュであることに気がついたから(最初のページに"To Salem's Lot"って書いてあるのだけどね)。
こちらのほうが、日本のありそうな過疎の町を舞台にしているだけによりリアル。しかもあくまで善と悪の対決だったスティーヴン・キングの作品と比べると、こちらは最後はデビルマンのように人の本性の恐ろしさもでて、より怖く悲しい。
成人男子の一般的な血液量は約5リットル。これを一気に飲み干すことは無理。その前に血液の20%を失うとショック症状を呈するのでそれくらいの殺されるまでの吸血量だとすると、約1リットル。一回で殺されてしまうケースもあるが、大抵ヒロインの女性は数回に渡る襲撃を受けるので3〜4回で1リットルと考えると、丁度缶コーヒー一本分くらいを一回で吸われる勘定に……なんて怖いリアルに読ませるうんちくがたくさん出てくる。
暑くなってきたので、まずはスティーヴン・キングの作品、で次に小野不由美さんの作品を読むと良いかと。
コメント
コメントを投稿