昨年買ってしばらく放置していた映画『鉄人28号』のDVDを見てみた。
監督の富樫森は特撮の経験がないようで、この映画もCGは割とお粗末でどちらかというと人間ドラマのほうに重きが置かれている。特撮を期待して購入するとがっかりするかもしれない。
CGで描かれたロボットは、いかにもCGで描いたロボットっぽい。アマチュアレベルでもこんなCGは作らないだろう。ロボットの動きもぎこちなく、ホンダのアシモなどのほうがよほど迫力のあるダイナミックな動きができている。ロボットは武器を持っていないため、退屈な殴り合いによる戦いが続く。子供の喧嘩よりのんびりしたものだ。
ただし、ロボットの設定を原作に忠実に再現するとこうなるのかもしれない。大体あのリモコンであのロボットを動かそうと言うのだから、現実的にはあぁなってしまうのだろう。
この映画の一番の失敗は、舞台を原作の昭和初期から現代の平静に書き換えてしまったことだろう。原作の持つ「空想科学」といった雰囲気もぴったり合っていただろうし、あのぎこちないロボットも時代設定を変えれば最新技術として説得力を持つ。残念!
この映画でもっともよかったのは、鉄人を改良する天才少女を演じた蒼井優か。
回りに理解されない天才の孤独を屈託のなさの下に秘めた陰と、少年正太郎の恋とも呼べぬ恋心の対象としての美少女を見事に演じている。少年の成長物語として成立させているのは彼女の演技に依るところが大きいと思う。楽しみな女優さんです。
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