『とりあえずの』の「ウルトラセブン幻の第12話」を読んで思う。以前『放送禁止映像大全』という本を読んだのだが、こういった本筋とは関係ない表現とも言えない一部のセリフや言い回しをとらえて封印された話がなんと多いことだろう。わたしの大好きだった「ジャングル黒ベイ」が馬鹿らしい理由で二度と見ることができないことが非常に悲しい。
「
神代より言ひ伝て来らくそらみつ大和の国は皇神の厳しき国言霊の幸はふ国と 語り継ぎ言ひ継がひけり・・・
」という山上憶良の歌がある。この国では、言葉には不思議な作用があって霊妙な結果を現すと信じられていると昔から信じられてきた。上のような話もこの「言霊」というものを信じている悪い面がでているのだろうと思う。
現代のたちの悪さは昔の日本人と違って言霊を信じていることを意識せずに呪縛されていること。そんなこと信じていないという人も多かろうが、たとえば結婚式のスピーチで「これからは人生いろいろ大変な時もあるでしょう。新郎の仕事は激務なので病に倒れたり先に死んでしまうようなことがあるかもしれない。そんな時……」なんてことを言い出したら誰しもなんて不謹慎なと思うだろう。これはやはり日本人特有の感覚だと思う。その証拠にキリスト教での式では「汝、この男性が良きにつけ悪しきにつけ、病めるときも健やかなるときも、死が二人を分かつまで……」なんてセリフが平気で出てくる。
この言葉狩りはいつなくなるのだろう。ジャングル黒ベイだって、必殺仕掛け人だって、子連れ狼だって、どろろだってもう一度見てみたいし子供にもみせてあげたい。その時に所々セリフが消されたようなものであってほしくないなぁ。
コメント
コメントを投稿