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赤とんぼの謎

この虫の中でも赤とんぼというニッチにテーマを絞り込んだマニアな本。
赤とんぼの謎
赤とんぼの謎
posted with amazlet at 08.11.15
新井 裕
どうぶつ社
売り上げランキング: 331228
内容は一章で日本人と赤とんぼとの関わりについて語ったあと、アキアカネの話、ウスバキトンボの話、その他赤とんぼ全般の話とまとまっていて読みやすい。 日本ではこれほど風物としてなじみ深いトンボが、外国では「刺す」という誤解もあって忌み嫌われていたり無視されていたりするというのは驚いた。日本のように親しみを感じるのは水田で稲作を行う韓国や台湾に限られているというのも興味深い。また、有名な「赤とんぼの唄」について語られている蘊蓄はさすが! 赤とんぼが羽化して後避暑のため山に登って秋に帰ってくるという話はわたしでも知っているくらい有名だが、それはアキアカネというトンボの話で、一般に見られる赤とんぼには大きく分類するとこのアキアカネと外国から飛来するウスバキトンボに分類できるというのも初めて知った。本のタイトルになっている「謎」とは、
  1. アキアカネは何故夏の間山に移動するのか? (避暑のためのというのはあくまで説らしい)
  2. ウスバキトンボはどこから来て、何故日本に来るのか?
の2つが大きく取り上げられている謎である。 結局、研究家の方が集めたデータやそこから著者が考える説がいくつか示されるが、決定的な結論に至らないところは少し歯がゆい、もともと著者は大学の研究員だった方が、現在は愛好家として趣味でトンボを研究しているようで、結論に至るデータを集めて検証するには膨大な採取とデータの分析が必要なので限界があるのだろう。トンボにそこまでの資金を提供する研究機関もないのかもしれない。 しかし、あまり学術的に難しい話にならずにわかりやすい内容なので興味本位でも十分に楽しめる内容になっている。身近な虫だけに子供たちに聞かせる蘊蓄としてはよいテーマだし、最後に環境の問題も出てくるので赤とんぼという 目に見える形で環境を考えるというのはよい啓蒙のアプローチだろう。

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Appling 2ndの『リピート』 の記事を読んで、面白そうだったので買って読んでみた。 リピート posted with amazlet on 07.04.01 乾 くるみ 文藝春秋 (2004/10/23) 売り上げランキング: 194098 Amazon.co.jp で詳細を見る そもそもタイムスリップものは好きなジャンルであることと、そのタイトルと紹介されていたストーリーから大好きなケン・グリムウッドの『リプレイ』を連想したからだ。実際、作品の中でも時間を繰り返すタイムスリップを突きつけられた時主人公達はケン・グリムウッドの『リプレイ』を引き合いに出して議論を行う場面もあるので、作者がリプレイを意識しているのは確実だろう。 タイムスリップ物というSF的な文法を使いながら、うまくミステリーの要素を融合させ、ちょっぴり恋愛物のスパイスも利かせてうまい具合にまとまった作品になっている。たまたま今回は筋が読めてしまって「やっぱり」って感じもしたが、一般的には二つの要素がかみ合ってうまく最後まで読者を惹きつけるだろう。 帯には" 『リプレイ』+『そして誰もいなくなった』 "などと銘打ってある。確かに楽しめる作品であるが、ちょっと言いすぎかな。『リプレイ』のオマージュと考えると、以下の点で物足りなさを感じる。 リプレイ(リピート)の期間が短い 『リプレイ』では25年だったリプレイの期間がわずか10ヶ月を遡るだけ。このことで「人生を繰り返す」といっても重みが違ってきている。しかも描かれるのはそのあるサイクルだけだ。 描写される時代 『リプレイ』では自信を失っていた80年代のアメリカから良き時代の60年代、70年代がリプレイで描かれるところが大きな魅力になっている。一方『リピート』では振幅が短いためリピート自体にそういった効果はないが、何故かそもそもの設定は91年となっていて中途半端に懐かしい。 主人公が嫌なヤツ 最初は好青年っぽいがだんだん嫌な面が描かれていく。物語は一人称で綴られているが主人公がそんな状態であるため、読み手としては感情移入がし難い。 とはいえ、結構な長編だが一日で一気に読んでしまったほど面白い。

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