『永遠の出口』、児童文学で名をはせた森 絵都が初めて大人向けの小説として取り組んだ作品。
小学校から高校卒業までの少女の成長を九つの章で描かれている。
普段あまり手に取るようなジャンルの作品ではないが、読んでみたのはその中のある章「黒魔術とコッペパン」が『女王の教室』を想起させたから。
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この章では、「黒魔女」と恐れられる教師がクラスを支配していく様子とそれに向けて立ち上がる子供たちの様子が描かれている。テストの結果で与えられる飴とムチの成績至上主義、テストを配る様、教師の口から語られる病魔などの恐ろしい「現実」、給食のシチューをこぼしてしまう生徒、合同ダンスの補習でのいびり、一年間をやり過ごすと宣言する主人公の男友達……『女王の教室』で使用されたモチーフが驚くほどそのまま詰まっている。
おそらく、『女王の教室』の脚本を書いた脚本家はこの小説を読んでインスパイアされたであろうことは間違いない。実際にはそこに描かれている教師は阿久津真矢とは似ても似つかない。あくまで主人公である小学生の目を通して、教師はそこでの理不尽な世界の代表として描かれているだけで、力点は少女の成長にある。そこを膨らませて阿久津真矢というキャラクターを作り出したところが、『女王の教室』を『女王の教室』たらしめているところなのだが……、かなり危ない線だと思う。『女王の教室』がノベライズされないのもそういう理由か!?
ともあれ、『女王の教室』を知らなくてもこの小説自体は予想外によかった。
男女の違いはあれ、自分の十代なんてこんなものだった。自身の思春期をのぞき見られているような感覚は、この人の感性のすごさなんだと思う。興味本位で読んでみても損はしない一冊でした。
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バップ (2005/12/21)
おすすめ度の平均:
最終の2話で台無しにしてしまった……「ドラゴン桜」と双璧をなす「教育見直し」ドラマ
一度は観てほしい
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