スキップしてメイン コンテンツに移動

DZ

小笠原慧の作品の文庫。

オープニングはベトナムで子供を身ごもった妊婦から始まる。
そして、アメリカで冷蔵庫に隠された夫婦の死体に端を発する殺人事件を追うスネル、同じくアメリカで遺伝子研究を行う研究者グエンと石橋、日本で重度障害児施設に赴任する女医・志度。一見関連のない3つストーリーが同時に進行して、最後にそれらが紡がれていくハリウッド映画のような手法で描かれたミステリー。

DZ(ディーズィー) (角川文庫)DZ(ディーズィー) (角川文庫)
小笠原 慧

角川書店 2003-05
売り上げランキング : 325082
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

この作品はミステリーだけでなくSFとしても「ヒトの進化」を扱っており、通常は障害される染色体異常と進化を関連付けてとらえている点はなるほどと感心する。科学的にどれだけ正しい内容かはわからないが、作者が医師だけに遺伝子工学や染色体の話など専門用語を交えた内容はなんとなく説得力がある。重度障害児施設の描写など厳しい描写もあるが、そういうことを含めて現実としての説得力につながっているのだろう。

文庫の帯に「複線のはり方があまりに見事」と書かれていた。3つのストーリーが次々と状況を変えていき、お互いにつながる断片を見せる。最初は関連性が見えず読みにくいと感じる人も多いだろう。中盤からさらに謎を深めながら、後半に向けて紡がれていく様は確かに見事。伏線も多くは、勘の良い読者であれば割と早い段階でなんとなく読めてしまうだろう。わたしも早い段階で気付いてしまったが、それでもその展開が早くみたくて一気に読み進んでしまった。

ただし、最後に起こるどんでん返しの伏線は読めなかった。
この登場人物に与えられた環境が何らかの伏線であるような気はしたが、最後までどう使われるのだろうと思っていた。この人が行為を拒むのもまったく逆の理由を想像させられてしまったので読み誤ったのかもしれない。

読了は爽快なものではないけれど、展開も早く読みごたえるのある作品であることには間違いない。

コメント

このブログの人気の投稿

W-ZERO3 カスタマイズ関連

Advanced/W-ZERO3[es]のカスタマイズのメモ。 いろいろインストールしているうちに何をどこから持ってきたのかわからなくなりそうなので、メモを残しておく。 ctrlwapmini テンキー関連の文字入力方式を改善するソフト。 キーマップの作成で携帯電話風の入力方式を利用できたりする。わたしはAuのカシオ系に慣れてしまったので、 w42ca風のキーマップ を拾ってきて利用している。 入手先: http://hp.vector.co.jp/authors/VA004474/wince/wince.html gsgetfile.dll 標準のファイル選択ダイアログを置換するDLL。 My Documents以外のフォルダにアクセスするために作成されたものらしい。いろんなソフトで前提になっているので、とりあえず導入しておく。 入手先: http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Cupertino/2039/ Multi Key Hook 標準では一つしか使えないキーフックを複数のアプリに割当で着るようにするソフト。 入手先をダウンロードし、Windowsフォルダにぶち込んでおく。 入手先: http://geocities.yahoo.co.jp/gl/hou ming 2/view/20070906/1189012118 DefaultMailer advanced/W-ZERO3[es]には、W-ZERO3メールとOutlookメールが入っているが標準MUAをどちらにするか切り替えるソフト。 標準ではOutlookとなっているが実際にはW-ZERO3メールを使うことの方が多いので、todayCompactなどから起動する際、このソフトを利用してW-ZERO3メールが起動するように調整。 入手先: Andante:DefaultMailer version 0.1.0.0リリース KeyLockSuspender 側面のキーロックスイッチの動作をカスタマイズできるソフト。 これでキーロックに連動して、画面のオンオフ、サスペンドなどを強制的に行いバッテリーの不要な消耗を防ぐ。 入手先からダウンロードして適当なフォルダに展開したら、ショートカットを作成してスタートアップに入れておく。 入手先: KeyLockSuspend...

Thinkpad T42

新たに購入したお仕事用のPC Thinkpad T42が先週末届いた。 仕様は、Pentium-M 1.80GHz, 1400x1050の15型TFT液晶、メモリーは追加して1.5GB(増設用に2GBを用意していたが、秘書さんのPCが256MBで苦しんでいたので1GBあげてしまった)、指紋センサー付き。無線もEEE802.11a/b/g対応となった。 こうして、iBookと並べてみると対照的。天使と悪魔か…… 今まで使用してたT30と比較すると、多少CPUが早くなりUSBが2.0になり指紋センサーがついて、やけに軽くなった。腰痛持ちの私にとっては、重量がぐんと軽くなったのが一番うれしいか。それでも2kg以上あるが。 指紋センサーはパームレスト上に(写真でいうと右側)実装されている。付属のソフトで設定すると、起動時のBIOS、HDDのパスワード投入、WindowsXPのログイン用パスワード投入の代わりに、電源オン時の指紋照合一発で済ませることができる。センサーに読み込ませるためには、指を一定の角度でセンサーに向けてまっすぐに動かさないと誤認識される。多少コツが必要で偶に失敗する。指紋はいくつか指を登録できるので複数を登録しておいたほうが無難。 今回も新しいおもちゃになりそうな機能はいくつかついているのだが、2日くらいで飽きてしまった。仕事で使うには十分なスペックで、十分に快適。ちょっと前まではお仕事用のPCも結構愛着やこだわりを持っていたのだが、買い替えを行って新しいPCが来てもあまりワクワクしなくなった。最近は、2年に一度機械的に買い替えを行うような感じ。スペック的に見るとiBookなどと比べるまでもないほどはるかに重装備だが、iBookのほうが楽しい。 PCの価値はスペックだけでは語れないのだよ(ムスカ風)