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舞い降りた天皇

舞い降りた天皇』いわゆる歴史ミステリー。
歴史について独自視点で新たな仮説と推理で歴史上の謎に新たな結論を導きだ して行く。その過程が小説上に登場する架空の小説家に仮託して展開されてい く。本当はこういった形式の小説は好きではないのだけれど……

内容は邪馬台国から大和朝廷成立までの過程の謎に迫っている。学校で習う歴 史では確かに邪馬台国から一気に、いつの間にか大和朝廷が成立していたこと になっていて飛躍している感があったが、その間の過程を埋める考証がなされ ている。

魏志倭人伝や古事記/日本書紀を中心に資料を検証し、出雲、福岡、奈良の三 輪山、伊勢神宮などのフィードワークも交えての推論が展開される。天皇家の 由来や縄文/弥生の区別、縄文人とサンカとの関連など、その仮説は驚くほど 大胆だが非常に説得力がある。特にわたしは先日たまたま読んだ『 宗像大社・古代祭祀の原風景』の内容と関連していて、「なるほど!」と うなってしまった。

これを読むと、対馬の現状について「このままでいいんかい!」という気持ち 半分、「元はと言えば……」とか複雑な気持ちになる。

ただ、小説という形を取っているところはどうしても好きになれない。歴史の 推理の部分はともかく、この小説としてのストーリーはかなり噴飯もの。老人 の夢みたいなものだね。

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